―昭和的クラシックと、モダンの原点を対比する―
「昭和 クラシック スーツ」の完成形と、モダンの入口
1950年代――戦後復興期の日本や欧米で、人々が再び前を向き始めた時代。
この時代のクラシックスーツには、どこか「重み」や「祈り」のような気配があります。
それは、ただのファッションではなく、「再出発を象徴する装置」だったからです。
私たちオーダースーツカマクラは、その昭和的クラシックスーツの再現にこだわり続けています。
世田谷を拠点に、出張採寸専門というスタイルを選んだのも、目の前の人とじっくり向き合い、
一着のスーツに宿る“時代”を見極めるためです。
では、そんな1950年代のクラシックと並べて語るべきは、何のスーツでしょうか?
──それが、「モッズスーツ」です。
モッズスーツとは?
時代は少し下って1960年代。
ロンドンの若者たちが、細身のスーツに身を包み、ベスパに跨がり、
ジャズやR&Bを聴きながら街を駆け抜けたカルチャー、それが「モッズ」。
モッズスーツの特徴
• 極細ラペル、ナロータイ
• ショート丈ジャケット
• テーパードパンツ(ノークッション)
• スリムで軽快なシルエット
• 「既成品」への反抗として、スタイルへの徹底したこだわり
クラシックスーツが“威厳”を象徴するのに対し、モッズスーツは“個性”と“スピード感”の象徴。
いわば、「クラシックの重厚さ」と「モダンの鋭さ」を対比する、最良の比較対象といえるでしょう。
スーツは「服」ではなく「思想」だった時代
1950年代のクラシックスーツは、働く男の“再出発”を支えるためにあった。
1960年代のモッズスーツは、“自分らしく生きる”ための主張だった。
どちらも単なる流行ではありません。
その背景には、それぞれの時代の「精神」が宿っています。
そしてその精神こそが、今のスーツには失われつつあるものです。
オーダースーツカマクラが大切にしているのは「時代を背負うディテール」
私たちのスーツは、1950年代のクラシックを基軸にしています。
それは、ただ古いからではありません。
その時代に“人がどんな生き方をしていたか”が、スーツに表れているからです。
ですが、お客様の中には「もう少しモダンな雰囲気も欲しい」とおっしゃる方もいます。
そのとき私たちが参考にするのが、このモッズスーツ。
つまり、クラシックを軸に、モッズのスピード感を“必要に応じて”取り入れるという考え方です。
それが、クラシックを知るからこそできる、アップデートされた一着。
世田谷の出張スーツ専門店だからこそできる「混ぜ方」
既製服の世界では、「クラシック風」か「モダン風」か、二者択一になりがちです。
でも、私たちは違います。
出張採寸だからこそ、お客様の体と思想をしっかり見て、
クラシックとモダンを“融合させる”最適解を、その場で判断できるのです。
最後に ― どちらのスーツにも、人生を変える力がある
スーツはただの“服”ではありません。
1950年代のクラシックスーツにも、1960年代のモッズスーツにも、
「人生を動かす力」がありました。
私たちオーダースーツカマクラは、
そんな“思想の宿る一着”を、世田谷からあなたのもとへお届けします。
≪余談≫
■ モッズスーツが流行した背景
• 若者の反抗と洗練:戦後の保守的なスタイルに反発し、労働者階級出身の若者たちが独自に生み出した「上質でありながら反骨的」なスーツ。
• ビートルズやザ・フーなど、当時の音楽シーンのアイコンが着用したことで一気に広まりました。
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■ 現代におけるモッズスーツ
• イタリアンブランドやセレクトショップでよく見られる「スリムスーツ」は、ほぼこのモッズスーツの影響。
• ドレスとカジュアルの中間を行くスタイルとして再評価され、特に20〜30代の若者を中心に人気。
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■ オーダースーツカマクラ視点で見ると…
オーダースーツカマクラは1950年代をルーツに持つクラシックスーツを主軸にしていますが、モッズスーツは**「クラシックからの逸脱」=モダンの象徴**とも言えます。
ただし、当時の若者が「既成品では得られない完成度」を追求していた点では、オーダーの精神と近い価値観も感じられます。
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