スーツは、どこで買うかではなく
誰から買うかで8割決まると思っています。
これは少し極端に聞こえるかもしれませんが、実際にいろんなスーツを見てきて、そして自分自身も失敗してきた中で出た結論です。
同じ生地でも
同じような価格帯でも
仕上がりは全く違うものになります。
その違いを生むのは、作り手の思想です。
■ 作り手は黒子であるべき
私は、スーツを作る側の人間ですが
強く思っていることがあります。
それは
作り手は黒子であるべき
ということです。
ブランドや作り手の主張が強すぎるスーツは、一見カッコよく見えるかもしれません。
ですが、それは
「その人に似合っている」のではなく
「スーツが目立っている」状態です。
本来スーツは
着る人を引き立てるためのものです。
主役はあくまで着る人であって
作り手ではありません。
ここを間違えると
どれだけ高価でも「良いスーツ」とは言えないと考えています。
■ 採寸は“サイズを測る作業”ではない
スーツの採寸というと
サイズを測っているだけと思われがちです。
もちろん数値は測ります。
ただ実際にやっていることは
どう見せるかを設計すること
です。
肩の収まり
着丈のバランス
パンツの太さ
これらをどう整えるかで
同じ人でも印象は大きく変わります。
私は採寸を42項目行います。
MTMとしては多い方かもしれません。
ですが、必要だからやっています。
上がり寸法、つまり完成した時の見え方から逆算して設計するためには
これだけの情報が必要になります。
■ テーラーではなく、設計者であり調達者
私はテーラーではありません。
自分で縫うわけでも
カットするわけでもないので
そこは誤解のないようにしています。
では何をしているのかというと
その人に合う縫製工場を選び
補正ルールを踏まえて設計し
生地も含めて全体を組み立てています。
いわば
スーツの設計と調達
です。
同じMTMでも
どの工場で、どの仕様で作るかによって
仕上がりは大きく変わります。
その選択を間違えないことも
重要な仕事の一つです。
■ “なんとなく”で作ると失敗する
チェーンのオーダーでは物足りない
でもフルハンドは現実的じゃない
そういう方は多いと思います。
私自身もそうでした。
そして
“なんとなく良さそう”で作ったスーツで
何度も失敗してきました。
悪くはないけど、しっくりこない
この感覚が一番もったいないと思っています。
■ 静かに尖るクラシックスーツへ
私が目指しているのは
“なんとなく”を終わらせる
静かに尖るクラシックスーツ
です。
派手ではない
でも崩れていない
一見普通に見えるけれど
しっかり整っている
そういうスーツが
一番美しいと考えています。
スーツは
ただの服ではなく
その人の印象を作るものです。
だからこそ
誰に任せるかは、とても重要です。
思想や考え方、感性が合うかどうか
ここがズレると
どこか違和感のある仕上がりになります。
もし今
「なんとなくしっくりこない」と感じているなら
一度、見直してみてもいいかもしれません。


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