「クラシック回帰」とは、不便さの追求である

【鎌倉のスーツブログ】

なぜ、今“時代遅れの服”がかっこよく見えるのか?

最近、クラシックなスーツがまた増えてきた気がします。

太めのラペル。
少し深めの股上。
サスペンダー。
ベルトレスのパンツ。
ゆとりのあるシルエット。

少し前なら「古い」と言われたようなものが、また格好よく見える。

いわゆる「クラシック回帰」ってやつですね。

私も、こういうスーツが好きです。

ただ、昔の服をそのまま作りたいわけではありません。
ここ、結構大事なんです。

不便だから、良いわけじゃない

この記事を最初に書いた時、私は、

「クラシック回帰とは、不便さの追求である」
と書きました。

今でも、このタイトル自体は結構好きです。(^^)
でも、今なら少し説明を加えます。

不便だから価値がある。
面倒だから格好いい。

ということではありません。

例えば、サスペンダー。
ベルトより面倒です。
深い股上のパンツも、今の一般的なパンツとは履き心地が違う。

ネクタイだって、毎朝結ばなきゃいけない。

でも、それぞれに、「なぜ、そうなっているのか?」
があるんですよね。

私は、その「なぜ?」の方が大事だと思っています。

昔のスーツには、理由がある

私は1950年代頃のスーツを、一つの基準にしています。

でも、「1950年代だから格好いい」
と思っているわけではありません。

もっと古い1930年代のスーツも見ますし、1960年代以降のスーツを見ることもあります。

面白いのは、時代によって結構違うこと。

ラペルの幅も違う。
ゴージの高さも違う。
着丈も違う。
パンツの太さも違う。

シャツの袖をどれぐらい見せるかだって違います。

だから私は、「クラシックでは、これが正解です」

と言われると、「いや、なんで?」
って思っちゃうんです。(笑)

「1cm出す」が悪いわけじゃない

例えば、「ジャケットの袖から、シャツを1〜1.5cm出す」

よく言われます。
もちろん、それでいいんです。

白いシャツが手首に見えると、軽快に見える。

それを狙うなら、ちゃんと理由がある。

逆に、私は重心を低く、どっしり構えたスーツなら、腕を下ろした時にはシャツをほとんど見せないこともあります。

動いた時に、少し見えるぐらい。

私はこっちに色気を感じることもあるんですよね。

どちらが正解という話ではありません。

1cm出す → ○
ほとんど出さない → ○
場合によっては、もっと出す → ○

大事なのは、その前に、「なぜ?」
があることだと思っています。

クラシックとは、昔の形を再現することではない

古いスーツを見ていると、
「これ、格好いいな〜」と思うディテールがたくさんあります。

でも、それを全部入れたらいいのか?

私は違うと思っています。

やり過ぎれば、スーツではなく「衣装」に近づいてしまう。

だから、
何を残すか。
何を削るか。
今の仕事着として、どこまで戻すか。

そこを考えます。

12cmのピークドラペルを使うこともあります。

ゴージをかなり低くすることもあります。

股上を深くすることもあります。

パンツを太くすることもあります。

でも、「昔そうだったから」だけでは決めません。

その人をどう見せたいのか。

スーツ全体の重心をどこに置くのか。

なぜ、この寸法なのか。

そこから数値を決めます。

オーダーだから格好よくなるわけじゃない

ここも、以前この記事を書いた時とは少し考え方が変わりました。

オーダースーツだから格好よくなる。

私は、そうは思っていません。

オーダーは、あくまで作り方の一つです。

採寸したから格好よくなるわけでもない。

大事なのは、

その数字を、何のために決めたのか。

肩。
胸。
着丈。
ボタン位置。
ラペル幅。
股上。
パンツの太さ。

私は42項目を採寸しますが、42個測ること自体が目的ではありません。

測った数字を使って、「この人を、どう見せるか」
を考える。

そのための採寸です。

便利さのために、理由のある形まで捨てない

なので今、
「クラシック回帰とは、不便さの追求である」

という昔の自分の言葉を読み返すと、
少しだけ意味が変わりました。

私は、不便な服が好きなわけじゃないんだと思います。

便利なものは、便利でいい。

楽な服だって、もちろんいい。

ただ、
便利さのために、理由のある形まで捨てなくてもいい。

昔から残ってきた形には、残ってきた理由があります。

一度そこで止まって、「なんで、こうなってるんだろう?」
と考えてみる。

その上で、今の自分に必要なら残す。

必要なければ、やめる。

それでいいと思っています。

クラシックって、

古いものを守ることじゃなくて、

時代を越えて残った「理由」を、もう一度考えることなのかもしれません。

私は、そんなふうにスーツを作っています。

⸻

まずは、今のスーツを見せてください。

「自分のスーツは、どうなんだろう?」

「別に変じゃない。でも、なんかしっくりこない。」

それだけで大丈夫です。

今着ているスーツの写真を、LINEで送ってください。

私ならどう見るか?を、お話しします。

まだ作ると決めていなくても構いません。

必要であれば、採寸いたします。

今じゃないなら、作らない。

これが、私のスタンスです。

『自分のスーツはどうなんだろう?』
と、思ったら、写真をLINEで送って下さい。

作る前提じゃなくて、全然大丈夫です。

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