【1950年代スーツの魅力】なぜ私は、1950年代のスーツを基準にしているのか。

【鎌倉のスーツブログ】

1950年代のスーツが好きです。

でも、「昔のスーツだから格好いい」
と思っているわけではありません。

ヴィンテージっぽく見せたいわけでもない。

むしろ、昔のディテールを何でもかんでも入れてしまうと、今度はスーツではなく「衣装」に近づいてしまう。

私が見ているのは、

【なぜ、この形だったのか?】です。

私が1950年代を基準にしている理由

スーツの歴史を見ていくと、当然ですが1950年代に突然スーツが完成したわけではありません。

それ以前の1930年代にも、非常に美しいスーツがあります。

肩の作り。
胸の立体感。
ラペルの幅。
ゴージの位置。
着丈。
パンツの股上や太さ。

今見ても、本当に格好いい。

その後、戦争を挟み、1950年代になるとスーツはまた変化していきます。

私が面白いと思うのは、

それ以前に作られてきたスーツの美しさが、戦後の時代の中でもう一度組み直されていること。

と、いうことなんです。

だから私は、1950年代あたりのスーツを一つの基準として見ることが多いです。

「1950年代を再現したい」のではなく、
スーツの原型を考えるための基準。そんな感じでしょうか。

ワイドラペルだから、クラシックではない

1950年代風のスーツというと、

太いラペル。
低めのゴージ。
長めの着丈。
深い股上。
プリーツの入った太めのパンツ。
サスペンダー。

そんなディテールが思い浮かぶかもしれません。

確かに、私も好きです。(^^)

でも、
それを付ければクラシックスーツになるわけじゃない。

ここは結構大事だと思っています。

例えばラペル。

私の場合、ノッチドラペルなら10cm程度、ピークドラペルなら12cm程度にすることがあります。

でも、「昔のスーツはラペルが太いから」だけで決めているわけではありません。

肩幅はどれくらいか。
胸をどれくらい出すか。
ゴージをどこに置くか。
着丈をどこまで取るか。
ボタン位置をどこにするか。
その全部との関係でラペル幅を決めます。

12cmだけ真似しても、全体のバランスが違えば意味がないんですよね。

パンツも「太ければクラシック」ではない

これも同じです。

昔の写真を見ると、今よりかなりゆとりのあるパンツがたくさんあります。

深い股上。
インタック。
たっぷり取った渡り。
裾まで自然につながるシルエット。

私はこのバランスが好きです。

ただし、太ければいいわけじゃない。

上着の着丈が短くて、重心が高いのに、パンツだけ昔みたいに太くしたら、たぶん変です。
逆もあります。

スーツは上着だけでも、パンツだけでもなく、
全体で一つの形。

なので私は、肩、胸、着丈、ボタン位置、股上、渡り、膝、裾まで、一つの設計として考えます。

昔のスーツを、そのまま作らない

ここが、私にとって一番重要かもしれません。

「1950年代のスーツが好きなら、そのまま再現すればいいじゃないか。」
そう思われるかもしれません。

でも、私はそれをやりたいわけではありません。

昔と今では、
仕事も違う。
移動手段も違う。
室内環境も違う。
靴もシャツも違う。

そして何より、着る人が違います。

だから、
【何を残して、何を今に戻すか。】
を考えます。

昔の写真を見て、「このラペル格好いいな」「このパンツの太さ、いいな」
と思っても、そのままコピーはしない。

なぜ格好よく見えるのか?
どこに重心があるのか?
なぜ、この寸法なのか?

一回そこまで戻って考える。

そのうえで、今着ても普通に仕事ができるところまで戻します。

「クラシック」と「コスプレ」の境目

これは難しいです。(^^;)

私自身、かなりクラシックなスーツが好きなので、放っておくと色々やりたくなるんですよ。

太いピークドラペル。
低いゴージ。
チェンジポケット。
ショールカラーのベスト。
深い股上。
2タック。
サスペンダー。
懐中時計。
帽子まで被ったら……

もう楽しくなっちゃいます。(笑)

でも、お客様に作るスーツは別です。

その人が会社に行く。お客様に会う。食事に行く。
家族と出掛ける。そこで普通に着られなければ意味がない。

だから、
昔の要素を入れることより、どこで止めるかの方が難しい。

私はそう思っています。

私の言う「究極の普通」

Order Suit KAMAKURAでは、

「究極の普通」
という言葉を使っています。

普通のスーツを作る、という意味ではありません。

目立たせるためのディテールを足していくのではなく、
一つ一つに理由を持たせる。

肩にも理由がある。
着丈にも理由がある。
ラペルにも理由がある。
パンツの太さにも理由がある。

最近、シャツの袖をジャケットから何cm見せるか、という話を書きました。

一般には「1〜1.5cm」と言われます。

それも正解です。

でも、私はほとんど見せない設計にすることもあります。

逆に、1cm程度見せるスーツも持っています。

大事なのは、
何cmが正解かではなく、なぜその寸法なのか?
だと思っています。

1950年代のスーツを見る時も、まったく同じです。

「昔はこうだったから」ではなく、「なぜ?」を見る。

それが、私のクラシックスーツの作り方です。

1950年代に戻りたいわけじゃない

たぶん、ここなんですよね。

私は1950年代に戻りたいわけではありません。

当時の人になりたいわけでもない。

昔のスーツを、そのまま着たいわけでもない。

ただ、
今より格好良かったと思う部分は、ちゃんと拾いたい。

そして、それを今の人の身体と生活に合わせて、もう一度設計する。

流行だから細くする。
クラシックだから太くする。
普通は1cmだから1cmにする。

そういう“なんとなく”では決めない。

一度止まって、「何故?」を考える。

その積み重ねで、着ている本人がなんか格好いい。

そんなスーツになればいいと思っています。

1950年代のスーツは、私にとってそのための大事な「基準」の一つです。

昔に戻るためではなく、
今のスーツを考えるために、昔を見る。

私は、そんなふうにクラシックスーツを作っています。

今着ているスーツを、見せてください。

「クラシックなスーツを作りたい」まで決まっていなくても大丈夫です。

むしろ、「今のスーツ、なんかしっくりこない。」

それだけでも構いません。

今着ているスーツの写真をLINEで送ってください。

着丈なのか。
肩なのか。
パンツの太さなのか。
それとも、別のところなのか。

『私ならどう見るか?』を、お話しします。

まだ作ると決めていなくても構いません。

必要なら採寸する。

今じゃないなら、作らない。

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