「渋いな〜、カッコいいな〜」から始まったダブルのブラックフォーマル。
前の記事でご紹介した、某ハウスメーカー店長の駿也くん。
実は、ハーヴィー・スペクターをイメージしたスーツと、もう一着。
同時にご注文いただいていました。
ダブルのブラックフォーマルです。
なぜダブルなのか。
何か特別な理由があるのかと思ったら、話は結構シンプルでした。
お葬式などに参列した時、ダブルのブラックフォーマルを着ている人をよく見かけたそうです。
おそらく、バブルの頃に流行った世代でしょう。
それを見ていて、「渋いな〜。カッコいいな〜。」と思っていた。
凄いよくわかります。この気持ち。カッコいい!
だったら、作ろう。
ただし私は、「格好いいダブルの喪服を作ろう」とは考えませんでした。
私が考えたのは、「喪服」ではなく「式服」でした。
黒いフォーマルというと、日本ではどうしても「喪服」のイメージが強いと思います。でも、フォーマルな装いは葬儀だけではありません。
結婚式もある。
式典もある。
タキシードもあれば、モーニングもある。
燕尾服だってある。その場によって、装いは変わります。
だから今回私が考えたのは、葬儀だけに閉じた一着にしないこと。
ネクタイやチーフを変えれば、華やかな式典にも馴染む。
もちろん弔事にも着ていける。
そんな「式服」としてのブラックフォーマルを作ろうと思いました。
黒ければ黒いほど良い、とは考えませんでした。
そこで選んだのが、KUNISHIMAのフォーマルコレクションです。
実は「黒」と一言で言っても、海外と日本では黒の作り方、見せ方に違いがあります。
今回欲しかったのは、ただただ深い、漆黒の黒ではありませんでした。
きちんとフォーマルに見える。でも、弔事だけに寄り過ぎない。
その黒が、KUNISHIMAにありました。
だから選びました。
有名だからでも、国産だからでもありません。
今回作りたいブラックフォーマルに、この黒が必要だった。
理由はそれだけです。
ダブルだからこそ、小細工はしませんでした。
駿也くんが憧れていたのは、ダブルのブラックフォーマル。
だったら、変に今っぽくしない。
細くし過ぎない。
デザインで遊ばない。
今回はまず、フォーマルであること。
ここを基準にしました。
そして、意外と大事なのが後ろです。
ノーベント。
普段のビジネススーツなら、センターベントやサイドベンツを選ぶことも多い。
でも今回はフォーマルです。
なぜノーベントなのかも本人に話して、フォーマルの基準に則って作りました。
こういう時、私は「ちょっと変わった一着」にする必要はないと思っています。
むしろ逆です。
決まりがあるなら、まず決まりを知る。
その上で、どこまでその人らしくできるかを考える。
崩すことより、崩さないことの方が格好いい場面もあります。
フォーマルは、その一つだと思っています。
「うわぁ!渋!!」
納品の日。
同時に作った2着のうち、最初に試着したのが、このブラックフォーマルでした。
着た瞬間、「うわぁ!渋!!」でした。(笑)
これでいいんです。
本人がずっと「渋いな、格好いいな」と思っていたダブルですから。
でも、私が今回一番大事にしたかったのは、「渋い」「格好いい」だけではありません。
フォーマルと言っても、いろんな場があります。
そして、その場には必ず自分以外の人がいる。
だから私は、
場に馴染むこと。
その場を大切にすること。
そこにいる人へ敬意を表すこと。
その上で、格好をつければいいと思っています。
ただただ格好をつけるだけなら、場合によっては場違いになる。
でも、その場を理解した上で格好をつけるなら、それは装いになる。
敬意を持って、格好をつける。
今回のブラックフォーマルは、そんなことを考えながら作った一着です。
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今回の一着
生地 KUNISHIMA/フォーマルコレクション・ブラック
用途 弔事・結婚式・式典を想定したブラックフォーマル
デザイン ダブルブレステッド
仕様 ノーベント
設計 フォーマルの基準を軸に、過度な装飾を加えず構成



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