今回仕上がってきたのは、
シングルブレストのピークドラペル、3ピースです。
出来上がったものを見た最初の感想は、
「いや〜、、、無骨だな。」
でした。
男臭い。
最近のスーツでは、あまり見なくなった感じかもしれません。
でも今回は、最初から少しだけ、そういう方向を狙っています。
シングルのピークドラペル
ラペル幅は12cm。
ゴージラインは、かなり低めに設定しました。
ピークドラペルというと、華やかだったり、少しドレッシーに見えたりすることもあります。
でも今回は、そういう方向にはしたくなかった。
ゴージを低くして、ラペルを太くする。
着丈も少し長めにして、全体の重心を下げる。
ステッチ巾も少し太めに取っています。
結果として、同じピークドラペルでも、華やかというより、
重くて、無骨な顔になりました。
ベストは、ショールカラーの6×5
中のベストはショールカラー。
ボタンは6×5です。
Vゾーンも狭め。
ここも、今回のスーツの重心を作っている部分です。
ジャケットを脱いでも、ベストだけが妙に軽く見えないように。
ジャケット、ベスト、パンツ。
3つを別々に考えるのではなく、全部着た時に一つの形になるように考えました。
パンツも細くしない
パンツはインプリーツの2タック。
ベルトレスで、サスペンダー(ブレイシーズ)仕様。
右側だけにピスポケットを付け、後ろにはバック尾錠。
シルエットは、細く絞らずストレートです。
裾は4cmのダブル。
今回のジャケットに細いパンツを合わせてしまうと、上半身の重さだけが目立ってしまう。
太いラペル。
低いゴージ。
長めの着丈。
その上半身を受け止められるだけの太さを、パンツにも持たせています。
昔のスーツを、そのまま作りたいわけじゃない
出来上がったスーツを見ていて、少し思い出したものがあります。
『ピーキー・ブラインダーズ』のトミー・シェルビー。
それから『ゴッドファーザー PART II』の、若い頃のヴィトー・コルレオーネ。
もちろん、そのまま再現したわけではありません。
むしろ、ここが今回の設計で結構大事なところです。
もっとVゾーンを狭くする。
ラペルも、もっと強くベリードさせる。
全体のバランスも、さらに当時のものへ寄せる。
そうすれば、もっと「あの時代のスーツ」には近づきます。
でも、そこまではやりませんでした。
それをやると、今度はスーツではなく、衣装に近づいていくからです。
私は1950年代以前のクラシックスーツが好きです。
昔のスーツには、今見ても格好いいと思うものがたくさんあります。
でも、昔の形をそのまま再現することが、クラシックだとは思っていません。
大事なのは、
何を残して、何を今に戻すか。
だと思っています。
現代の仕事着として成立するところで止める
今回のスーツも、かなり攻めています。
12cmのピークラペル。
低いゴージ。
狭いVゾーン。
長めの着丈。
ストレートのパンツ。
一つずつ拾っていけば、今の一般的なビジネススーツとは結構違います。
でも、全体で見ると普通にダークスーツです。
仕事にも着ていける。
ここは崩したくありませんでした。
昔のスーツが好きだからといって、
「昔っぽいですね」
と言われるスーツを作りたいわけではない。
スーツだけが目立つのでもない。
着ている本人を見た時に、
「なんか、この人格好いいな。」
そう見えるところまで戻してあげたい。
そのために、クラシックのディテールを使っています。
「究極の普通」は、普通にすることではない
私がよく言っている「究極の普通」。
別に、無難なスーツを作るという意味ではありません。
今回みたいに、12cmのピークラペルを使うこともあります。
逆に、もっと静かな設計にすることもあります。
その人をどう見せたいのか。
どこに重心を置くのか。
何を残して、何を削るのか。
そこに理由があればいい。
今回の一着は、かなり「男臭い」方へ振りました。
でも、あと一歩は行かない。
無骨。でも、コスプレにはしない。
そのギリギリくらいが、今回ちょうど良かったんじゃないかなと思っています。
いや〜、、、
こういうクラシック、やっぱり好きなんですよね。^_^



仕様
シングルブレスト/ピークドラペル
3つボタン中掛けの3ピース
ラペル幅 12cm
低めのゴージライン
太めのステッチ巾
チェンジポケット
着丈長め
ショールカラーベスト
6×5ボタン
狭めのVゾーン
インプリーツ2タック
右側にのみ、ピスポケット
バック尾錠
サスペンダー(ブレイシーズ)仕様
ストレートシルエット
裾ダブル 4cm


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