【一着の設計記録:キングスマン】

ご納品スーツのご紹介

『キングスマン』ハリー・ハートを、自分なりに作る。

映画『キングスマン』が好きです。

ハリー・ハートのスーツ姿だけではなく、英国的な雰囲気、考え方、感じ方。
映画そのものも面白かったし、初めて観た時は、かなり惹かれました。

だから、自分でも作ってみたくなった。

ただし、映画の衣装をそのまま再現したかったわけではありません。
知っている人が見たら、「あ、キングスマンだ」と分かる。
そのくらいがいい。

そこから、この一着の設計を始めました。

ストライプを、あえて私は無地に。
ハリー・ハートのダブルスーツは、ネイビー系のストライプが印象的です。
でも私は、そこをそのまま真似しませんでした。

選んだのは、CANONICOのチャコールグレー。
しかも無地のライトフランネルです。
単純に、フランネルのスーツが着たかった。

ただ、私は暑がりです。
重いフランネルでは着なくなるのが分かっていたので、ライトフランネルにしました。探していたところ、ちょうどCANONICOにイメージ通りの生地があった。

キングスマンをそのまま作るのではなく、私が普通に仕事でも着られるキングスマン。
生地選びから、そこは変えています。

ダブルは、1cmだけ長くする。

ジャケットはダブル。
シングルで作る時の私の基準より、着丈を1cm長くしています。

理由は、ダブルらしい重厚感を出したかったから。
重心を少し低く構える。

ただし、長くしすぎれば野暮ったくなる。
考えた結果が、+1cmでした。
たった1cmですが、こういう数値にはちゃんと理由があります。

欲しかったのは、ハリー・ハートのドレープ。
体型補正については、いつもの自分の設計です。
猫背、前肩、左右差など、自分の身体の癖に合わせて補正を組み合わせています。

この一着で特に意識したのは、ウエストのシェイプ。

ダブルの重厚感を残しながら、身体の中心にはしっかり絞りを入れる。
完成してみると、狙っていたドレープがきれいに出ました。

正に、ハリー・ハート。
パンツはインタックの1タック。
現在の私の基準より、ややテーパードを意識したシルエットです。

「めっちゃ格好いい!!」

完成して初めて着た時の感想は、難しいものではありません。

「めっちゃ格好いい!!」でした。^_^

予定通り。
自分が頭の中で考えていたものが、そのまま形になった感覚です。
今でも仕事、会議、会合と普通に着ています。

以前ある方から、「これはカッコ良すぎて、会合じゃ浮くかもね」と言われたことがあります。

でも、そこは合わせ方次第。
シャツやネクタイを含め、場に馴染むようにコーディネートすればいい。
格好良くすることと、悪目立ちすることは違います。

次に作るなら。
今、もう一度キングスマンをイメージして作るなら。
次はストライプでやります。
もちろん、ダブルで。

今度はもう少し映画のハリー・ハートへ近づけても面白いと思っています。
『キングスマン』には、今でも考え方の参考にしている言葉がいくつもあります。

だからといって、映画以上の何かとして捉えているわけではありません。

好きな映画です。
そして、その好きなものから一着のスーツを考える。

全部を真似する必要なんてない。
好きな部分を拾って、自分の身体、自分の仕事、自分が着る場所に合わせて設計する。
オーダースーツの面白さって、こういうところにもあると思います。

生地・仕様

生地:CANONICO(VBC)
チャコールグレー/ライトフランネル

仕様:ダブルブレステッド
シングル基準より着丈+1cm
ウエストシェイプを意識した設計
パンツ:インタック1タック/テーパード寄り

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