【一着の設計記録:結納返しサプライズ】

ご納品スーツのご紹介

サプライズのはずが、グダグダでした。

今回は、少し変わったご依頼でした。
ご依頼いただいたのは、私の妻の友人。

結婚を控えていて、「彼に、結納返しでオーダースーツを贈りたい。」
という話でした。

妻を通じて、私のところへ相談が来ました。
「せっかくならサプライズにしよう。」
それと同時に、私たち夫婦との顔合わせというか、友人同士で会うような感じにして、自然に彼を家へ連れてこよう。
そんな話になりました。
で、私が最初に思ったのは、

「めんどくせ。」です。(笑)

いや、スーツを作るのが面倒なんじゃないんです。
どうやって本人にバレずに採寸まで持っていくんだよ。
・・・です。

しかも私、特に作戦もないまま当日を迎えました。
案の定、グダグダになりました。

当日は、「友人に会わせたい。」
という設定で、私の家へ遊びに来てもらいました。

当時、私の長男も生まれていました。
彼は子どもが好きなので、息子と遊んでくれている。
そこまでは良かった。

さて。さて、、さて、、、

ここから、どうやってスーツの採寸に持っていくんだ?

……無理でした。(笑)

結局、私のことを紹介してもらって、
「実は採寸士さんで……」となり、
「結納返しで、オーダースーツを贈りたいんだ。」と奥様から告白。

サプライズ終了です。かなりグダグダでした。(笑)
でも、結果的にはそれで良かったのかもしれません。

そこからは全員でスーツを作ることになりました。

生地は、みんなで選びました。
奥様からは事前に一つ、要望を聞いていました。
「彼はかなりの暑がりで、汗っかき。」

でも仕事では毎日スーツを着る。
だから、「着やすくて、通気性のあるスーツにしてほしい。」
優しい、よく後の旦那様をよく見ているいい奥様です。
これは大事にしました。

その条件から、私がいくつか生地をピックアップ。
そして最終的には、本人。奥様。私の妻。私の息子。
そして私。

みんなで選びました。
決まったのが、KUNISHIMAのブラウンカーキです。

なかなか個性のある色です。
だから、デザインでは余計なことをしませんでした。
生地にちゃんと存在感があるのに、デザインまで盛ったらうるさくなる。

基本は標準的に。
そして何より、毎日着る人なので着心地を優先する。
その方向で設計しました。

贈り物だからこそ、本人が着るスーツにする。
これは今振り返って思うことですが、
結納返しだからといって、記念品みたいなスーツにはしたくなかったんです。
贈るのは奥様です。

でも、実際に毎日着るのは本人です。
だったら、奥様の気持ちはちゃんと入っている。

でも、本人が普通に仕事で着られる。
その両方が必要です。

暑がりなら、暑がりであることを考える。
毎日スーツなら、着やすさを考える。
生地に個性があるなら、デザインは少し引く。

贈り物だから特別にするのではなく、
ちゃんと本人が着るものとして考える。

結果的には、その方が特別な一着になった気がします。

「これを着て、両家の顔合わせに行くのが楽しみです。」

完成したスーツを納品した時、
本人がそう言ってくれたのを覚えています。

最初はグダグダだったサプライズですが(笑)、ちゃんと結納返しの一着になりました。
そして、この話には続きがあります。
その後、お二人は結婚式を挙げました。
もちろん結婚式なので、新郎はタキシードです。

でも、そのタキシードに、
今回作った3ピースのベストだけを合わせてくれていました。
私は式には出ていません。

でも参列した妻が帰ってきて、「凄いカッコよかった!」と。

これは嬉しかったですね。
結納返しとして作ったスーツの一部が、今度は結婚式で使われている。
私が最初に想像していた使われ方ではありません。
でも、作ったものが本人のものになったからこそ、そういう使い方をしてくれたんだと思います。

最初は、「めんどくせ。」・・・だった仕事です。(笑)

サプライズも失敗。

当日はしどろもどろ。

でも最後には、本人も、奥様も、妻も、息子も、私も一緒になって生地を選んでいました。
そしてその一着が、両家の顔合わせへ行き、仕事で着られ、
最後は結婚式にまでついていった。

結果、めちゃめちゃ楽しい仕事でした。^_^
たまには、こんな一着もあります。

今回の一着

用途 結納返し/仕事/両家顔合わせ
生地 KUNISHIMA/ブラウンカーキ
仕様 3ピース
設計 暑がり・日常的なスーツ着用を考慮し、着心地を優先
デザイン 生地の個性を活かすため、基本に忠実な構成

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