【一着の設計記録:初オーダースーツ】

ご納品スーツのご紹介

「いや、これカッコいいな〜」――初めてのオーダースーツ。

この方との出会いは、ご紹介でした。

紹介してくださったのは、
Order Suit KAMAKURAの、一番最初のお客様。

その方から、
「お前もスーツはここで作ってもらった方がいい。」

そう言われて、私のところへ来てくださいました。
資系生命保険会社で営業をされている、30代の男性です。

採寸は、その保険会社のビルまで伺いました。

その日もスーツ姿。
それまでオーダースーツを作った経験はなく、普段は既製品を着ていたそうです。

最初に希望を聞いた時、確かこんなことを言っていました。
「カッコいいのがいいです。」シンプルです。(笑)
いいんです。これぐらいでも。(^^)

でも私は、こういう注文、嫌いじゃありません。
「これ、めちゃめちゃ格好良くなるな。」

最初に身体を見た時に思いました。
とにかく、スタイルがいい。

もちろん身体を採寸すれば、多少の癖はあります。
人間の身体なので、左右対称でもありません。

でも私からすれば、それほど難しい設計ではありませんでした。

むしろ、

余計なことをしない方がいい。

そう思いました。
元々これだけスタイルがいい人に、必要以上のシェイプを入れたり、無理に身体を作って見せたりする必要はありません。

Order Suit KAMAKURAで基準にしている、標準的なゆとり量。
そこに身体の癖を拾うための補正を入れる。

それで十分です。
この人は、スーツで格好よくするんじゃない。
ちゃんと作れば、勝手に格好よくなる。

そんな感じでした。

生地は、3人で選びました。
生地は、KUNISHIMA1850。
ネイビーをベースにしたウィンドウペンです。

本人と、紹介してくださったお客様と、私。
3人で生地を見ながら決めました。

最初のオーダースーツだからといって、
必ずネイビー無地にしなければならないとは思っていません。

この方の場合、仕事まで考えると、
むしろ少し柄があってもいいと思いました。

営業マンのスーツは「信頼」だと思っています。
特に、生命保険という仕事なら尚更です。

扱っているのは、単なる商品ではありません。
お客様と長く向き合っていく仕事です。

だからスーツにも、「この人なら任せられる」
と思ってもらえるものが必要だと思います。

ただ、
いつもバッチリ。
いつも決め決め。それが正解かというと、私は少し違うと思っています。

長いお付き合いになれば、
契約のような大切な場面だけではなく、
ちょっとした御用聞きで顔を出すこともあるでしょう。

そんな時まで、「営業マンです!」

という格好でガチガチに決めて行ったら、お客様まで身構えてしまうことがあります。
だから、少し軽さがあってもいい。
そこで選んだのが、このウィンドウペンでした。
ネイビーをベースにしているから、仕事着としての信頼感は崩さない。

でも、近くで見ると柄がある。
少しだけ柔らかい。

信頼は崩さない。
でも、相手を緊張させない。
この方の仕事には、そのくらいの距離感がいいと思いました。

サイズが合うことと、着心地がいいことは別です。
それまで着ていた既製品も、極端にサイズが合っていなかったわけではありません。

でも、実際に身体を見ると癖があります。
既製品は、そこまでは拾ってくれません。

肩。
姿勢。
左右差。
身体の動き。数字上はサイズが合っていても、
その人の身体に対して合っているとは限らない。

だから今回は、
スタイルの良さを邪魔しないゆとりを残しながら、必要なところだけ補正しました。
細くすれば格好いいわけではありません。

むしろこの方の場合、余計に絞らない方が格好いい。
そして、楽です。

そこは最初から自信がありました。

「いや、これカッコいいな〜」

納品して、初めて袖を通した時。

本人が、「いや、これカッコいいな〜」と。

なので私は、
「スタイルがいいからですよ〜」と茶化しました。^_^

でも、見た目以上に大きかったのは、
おそらく着心地だったと思います。

今まで着ていたスーツは、少し窮屈だったんじゃないかなと思います。

サイズそのものというより、身体の癖を拾い切れていなかった。

そこを採寸して整えると、同じ「身体に合ったスーツ」でも着心地は変わります。
そして、その納品の場で、
「2本目もお願いします。」となりました。

初めてのオーダースーツを納品した、その日にです。

一着目から、二着目へ。

その後、この方には、
さらにスラックスも一本お任せいただきました。

なぜ、続けてくれたのか。

そりゃあ、

私だったから。^_^

……であって欲しいです。(笑)

でも、それだけじゃないでしょう。
たぶんこの一着で、オーダースーツって、こういうものなんだ。
という魅力に気づいてくれたんじゃないかなと思っています。

生地を選べることだけがオーダーではありません。
身体を測ることだけでもない。

仕事を聞く。
どういう場面で着るのかを考える。

身体の癖を見る。
そして、格好よくするために何かを足すだけではなく、
その人が元々持っているものを邪魔しないように作る。

この方は、それがものすごく分かりやすく出たお客様でした。

最初に身体を見た時、「めちゃめちゃ格好良くなる」
と思った。

完成してみたら、本当にそうなった。

そして本人も、「カッコいい」と言ってくれた。

私にとっては、
非常に気持ちのいい答え合わせができた一着です。

今回の一着

生地 KUNISHIMA1850
色柄 ネイビー/ウィンドウペン
仕様 3ピース
用途 外資系生命保険会社での営業
設計 本人のスタイルの良さを邪魔せず、標準的なゆとりと必要な体型補正で構成
その後 納品当日に2着目を受注。その後スラックスも作製

コメント

タイトルとURLをコピーしました